20220727 ヒリゾ浜ガイドブック(2022年改訂版)制作 の事
<HIRIZO Guidebook 2022>
私がお世話になっている、南伊豆のヒリゾ浜で配布されているガイドブックに、3年ぶり3度めの改訂がされました。
全体の制作は下田のデザイナーさんで、私は2018年度版より、ビーチマップ、生き物図鑑、サンゴ図鑑のページを担当しています。(本職が印刷物のデザイナーなので、写真撮影から作文、デザイン、データ作成までやっています。)
2022年度版は、A5版フルカラーで、全体も24ページから28ページに増加しています。私が担当する、生き物図鑑も2ページ増量。その他各ページの文章と写真も、大幅に変更しています。
この3年で、サンゴ、特にエンタクミドリイシが増殖し、生物もかなり変わりました。南方系の生物が本当に増えています。たったの3年でここまで変わるものだなぁ、と、感慨深いものがあります。
私が担当した上述の内容の他にも、シュノーケリング講習、町内マップ、協賛の素敵なショップの広告等々、これで無料なの!?と思わず驚くボリュームとクオリティです。
中木港の渡し船チケット売り場の他、池袋、渋谷にあるダイビング用品店のAQROSさんなどで配布されています。機会があったら是非お手に。
下は2019年改訂時の記事です。
こちらはヒリゾ浜の公式HPです。
このブログのヒリゾ浜の記事はこちらです。
ブログ:シュノーケリング@南伊豆・ヒリゾ浜 2018
動画:youtube DIRU1974
以下に私が担当した記事の内容等を転載します。
詳細をご覧になられたい方は、画像をクリックするとflickrのページに飛びます。
<Beach Map / HIRIZO Guidebook 2022>
ヒリゾ浜のビーチマップと各ポイントのご紹介です。
ヒリゾ浜には、伊豆の海の全ての表情があります。
ヒリゾ浜の地形は、とてもバリエーション豊かです。海中の断崖絶壁ドロップオフ、速い潮流が通る水道、浅く穏やかな入り江。水底に目を向ければ、綺麗な砂地から、荒々しい岩礁地帯まで。鬱蒼と茂る海藻の畑があれば、カラフルなソフトコーラル、緑に輝くサンゴの群生も…伊豆の海の魅力が、ここにギュッと詰まっています。
泳ぐポイントは大きく分けて以下の6つです。お気に入りの場所を探しに行きましょう。
小通り ―水質も潮流も一番、ザ・ヒリゾ浜
大根島と浜に挟まれた水道です。常に速い潮流が通っていて、水質が良好に保たれています。砂地に大きな岩礁が点在し、ソフトコーラルやサンゴが繁茂しています。魚影も濃く、多くの魚の群れが集います。おとなしい大型のエイやサメ、ウミガメが姿を見せることも。イソギンチャクをよーく探せば、クマノミの赤ちゃんが隠れているかも…近年は浅瀬のテーブルサンゴに、ナンヨウハギなどの珍しい熱帯魚が姿を見せてくれています。
ハタンポ穴 ―いつでも大群、穴覗き
沖ハヤマと丘ハヤマの間にある、水面に少し顔を出した岩礁です。下が大きくえぐれていて、ミナミハタンポの大群が集まっています。穴の奥にはアカハタやテングダイなどの、大物が隠れていることも。周囲には、イソギンチャクやサンゴが点在しています。
ヘイゴロウ ―洞窟探検と幼魚探索
船着き場のすぐ前にある、大きな岩がヘイゴロウ(平五郎)岩です。内側は大きな洞窟になっています。渡し船の航路側の壁面には、鮮やかなソフトコーラルがびっしり。よく見ると、ミナミハコフグやチョウチョウウオなどの幼魚が潜んでいます。
あいあい岬下 ―いつでも穏やかな穴場
船着き場の対岸の崖があいあい岬です。水深が浅く潮流も穏やかなポイントです。大きなイソギンチャクの群生があって、クマノミやミツボシクロスズメダイなど、多くの熱帯魚が集まります。手前側の入り江では、ツバメウオやイトヒキアジなどが現れることがあります。
沖ハヤマ ―ヒリゾ浜最深、魚影も濃厚
ヒリゾ浜の一番外側の岩礁です。沖に向かって棚状の岩礁がなだらかに伸び、ヒリゾ浜でもっとも深い、水深20mまで落ち込みます。ダイナミックな地形と魚影は、ヒリゾ浜でも一番。メジナやキビナゴ、キンギョハナダイなど、多様な魚種の大群が見られます。これらを狙って、外洋からカンパチなどの大型魚が入り込んでくることも。大きなイソギンチャクの群生が各所にあり、クマノミが毎年越冬しています。アオウミガメが良く見られるのもこちらです。運が良ければ一緒に泳げるかも…
丘ハヤマ ―ドロップオフと緑のサンゴ群
ヒリゾ浜で一番大きな岩礁です。航路側は一気に15m落ち込む、水中の崖「ドロップオフ」になっています。ソラスズメダイやキンギョハナダイなどの魚群が常に見られます。ドロップオフの外洋側は、大きな岩が入り組む複雑な岩礁帯で、テングダイやアオブダイなど大型魚が潜んでいます。浜側の斜面と小通り側の浅い岩礁は、サンゴの群生になっていて、様々な熱帯魚が集まってきます。
多様な生物が住む環境を守りましょう
ヒリゾ浜に来る多くのお客様は、多様な海の生物を見ることを楽しみにしています。今後もご覧いただけるよう、採取はもちろん、生物を傷つけることはおやめください。また、ゴミ等を残さないようご協力をお願いします。
<Creatures Encyclopedia-1 / HIRIZO Guidebook 2022>
ヒリゾ浜で見られる生き物図鑑です。どれも私がヒリゾ浜の海中で撮影したものです。
今年は2ページ増量され、掲載種も114種から246種まで増えました。それでも、載せていない種はまだまだいます。ヒリゾ浜の海の豊かさは凄いです。
ヒリゾ浜の仲間たち
ヒリゾ浜には、もともと住んでいる生き物の他にも、遠い南の海から黒潮に乗って、毎年多種多様な生き物がやって来ます。この図鑑では、よく見られる種から、なかなか会えない種まで、順番にご紹介しています。今日はどんな仲間たちに出会えるでしょうか?
写真の●マークは主に見られるポイント。マークなしはどこでも会える生き物です。名前の後ろの「yg」は「幼魚」を意味しています。身を守るために、鋭いキバやトゲ、強い毒を持つ生き物もいます。観察する時はおどかしたり、手を触れたりせず、そっと見守ってあげましょう。
生物名:
クマノミyg、
ソラスズメダイ、スズメダイ、キンギョハナダイ(左♀右♂)、ニシキベラ、キュウセン、
メジナ、イスズミ、ニザダイ、アイゴ、クサフグ、
ハコフグ、タカノハダイ、イワシ、キビナゴ、ボラ、
ミナミハタンポ、ネンブツダイ、イソカサゴ、ウツボ、
メバル、オジサン(ホウライヒメジ)、ブダイダツ(オキザヨリ)、カゴカキダイ、アオウミガメ、
カエルウオ、コロダイ、オハグロベラ、セダカスズメダイ、クロダイ、
キタマクラ、ヘビギンポ、ヒメギンポ、コケギンポ、チョウチョウウオ、
イセエビ、トラウツボ、アカハタ、アジ、サバ、
イシダイyg、オヤビッチャ(上)シマハギ(下)、ホンソメワケベラ、オトヒメエビ、メイチダイ、
マダイ、アオリイカ、タカベ、シマアジ、イサキ、
ヒラタエイ、イシガキダイyg、ゴンズイ、イトフエフキ、イタチウオ、
クマノミ(左♂右♀)、ミツボシクロスズメダイyg、カンパチ、ブリ(イナダ)、ツムブリ、
ヒラメ、イズヒメエイ、オオモンハタ、マダコ、
イシガキダイ、イシダイ、フエダイ、オニカサゴ、
<Creatures Encyclopedia-2 / HIRIZO Guidebook 2022>
ミナミハコフグyg、
ツノダシ、トゲチョウチョウウオyg、フウライチョウチョウウオyg、
ミゾレチョウチョウウオyg、シラコダイyg、チョウハンyg、
アケボノチョウチョウウオyg、ゴマチョウチョウウオyg、キンチャクダイyg、キンチャクダイ、テングハギyg、
ナンヨウツバメウオyg、モンツキハギyg、ニジハギyg、ハクセンスズメダイyg、ミヤコキセンスズメダイyg、
メガネスズメダイyg、セダカスズメダイyg、ハナハゼ(上)ダテハゼ(下)テッポウエビ(中)、シマウミスズメ、アカヤガラ、
ヘラヤガラ、アオブダイ、ワモンダコ、キジハタ、イシガキフグ、
ミノカサゴ、マツカサウオ、ホウボウ、ヒメゴンベ、アカエイ、
ハナミノカサゴ、キリンミノ、タツノオトシゴ、ハリセンボン、ミナミギンポ、
サザナミヤッコ、ヨコシマクロダイyg、サザナミヤッコyg、カンムリベラyg、ツユベラyg、
アオウミウシ、ムカデミノウミウシ、コイボウミウシ、キイロイボウミウシ、サメジマオトメウミウシ、
オトメウミウシ、タテヒダイボウミウシ、フリエリイボウミウシ、ミアミラウミウシ、ムラサキウミコチョウ、
パンダホヤ、オオアカヒトデ、トビエイ、ヤッコエイ、オオセ、
カスザメ、ネコザメ、テヅルモヅル、ソウシハギ、イトヒキアジ、
ネズミフグ、テングダイ、ツバメウオ、ヒョウモンダコ、ノコギリハギyg、
ハナオコゼ、ヤリカタギ(左)フタスジリュウキュウスズメダイ(右)、ホシゴンベ、セダカギンポ、スミツキトノサマダイyg、
イロカエルアンコウ、ヒレナガハギyg、モンハナシャコ、フエヤッコ、タスキモンガラyg、
ナメラヤッコyg、アブラヤッコyg、
ソメワケヤッコyg、レンテンヤッコyg、
ナンヨウハギyg
<Corals Encyclopedia / HIRIZO Guidebook 2022>
最後はサンゴ図鑑です。
サンゴはこの3年で本当に増えました。特にテーブルサンゴのエンタクミドリイシは、その形状と大きさもあって、ものすごく目立っています。
ヒリゾ浜でサンゴの美しさを楽しむ
サンゴ(造礁サンゴ)とは?
サンゴはイソギンチャクやクラゲの仲間の「動物」です。褐虫藻と言う小さな「植物」と共生していて、太陽の光などを利用して、硬い骨格を作りながら成長しています。
ヒリゾ浜で主に見られるサンゴは「造礁サンゴ」と呼ばれ、深海の宝石サンゴとは違う浅い海に住む種類です。その他、骨格を持たないサンゴ、「ソフトコーラル」の仲間も沢山見ることができます。これらサンゴは海底に彩りを添え、多くの生き物のすみかとなっています。
伊豆にはサンゴ礁はないけど、サンゴはあるの?
一般にサンゴは、南の温かい海で大きなサンゴ礁を形成して生活しています。これまでは、比較的水温の低い伊豆の海ではあまり見られることはありませんでした。しかし、ここ数年のヒリゾ浜では、エンタクミドリイシなどのサンゴの群生をよく見かけるようになっています。海水温の上昇や、黒潮の蛇行等が影響しているのかもしれません。
伊豆のサンゴを守ることは必要?
水温が32℃を超えると、サンゴは褐虫藻を失い、骨格が透けてしまい白く見るようになります。この「白化現象」が長く続くと、サンゴは死んでしまいます。地球温暖化が進むと水温が高くなり、沖縄などの温かい熱帯の海では、この現象が頻繁に起こるようになり、サンゴに被害が出ると考えられています。沖縄より水温が低い伊豆の海は、将来的にサンゴの避難場所になるのかもしれません。
とはいえ現在の伊豆の海は、サンゴにとってまだまだ厳しい環境です。以前はヒリゾ浜に、沢山のヒメエダミドリイシの群生がありましたが、台風などの影響で大きく数を減らしてしまいました。その他のサンゴも、同じようにいなくなってしまう可能性があります。今あるサンゴを大切にして、また増えてくれるよう、見守ってゆきたいものです。
ヒリゾのサンゴを守るため、どうすればいい?
サンゴはとても弱く貴重な生き物で、簡単に傷ついてしまいます。泳ぐ時に手でつかんだり、フィンで蹴ったりしないように、気をつけてあげましょう。サンゴが住める綺麗な海のために、ゴミの持ち帰り等にもご協力ください。
サンゴ名:
ヒメエダミドリイシ、エンタクミドリイシ、ニホンアワサンゴ、ルリサンゴ、ミダレノウサンゴ、トゲイボサンゴ、
ミダレカメノコキクメイシ、ベルベットサンゴ、コトゲキクメイシ、フタマタハマサンゴ、フタトゲキクメイシ、キッカサンゴ、
キクメイシ、アミメサンゴ、パリカメノコキクメイシ、サンゴに共生するイバラカンザシ(ゴカイの仲間)、
ヒオウギヤギ(ソフトコーラル)、ウミトサカ(ソフトコーラル)、イボヤギ(左) イソバナ(右)(ソフトコーラル)、サンゴイソギンチャクとイソギンチャクカクレエビ
以下に残りのページのスキャンを貼ります。
こちらも詳細は、クリックしてflickrのページでご確認ください。
前半のページや双葉食堂さんの広告などにも写真を使っていただいています。
この記事執筆の時点(2022/7/27)で、2022年シーズンが開始してそろそろ一ヶ月。2回4日間お邪魔しました。大雨の影響で若干水質がふるいませんが、魚影は逆にものすごく、やはり楽しいヒリゾ浜です。
つい先程の情報では、神子元島に青い黒潮が入ってきていました。やや遅れてヒリゾ浜に同じ潮が入ってきますので、これからに期待できます。
※追記
実は2021年シーズンは渡船期間終了後の10月に、試験的にボートシュノーケリングが開催されていました。
かねてより、水温が高く天候が安定する10月こそがスキンダイビングの本番だと思っていたのですが、ヒリゾ浜のその例に漏れず、見事な海に恵まれました。
今年2022年シーズンも開催予定とのことです。ヒリゾ浜のHPに詳細が載るのをお待ち下さい。
ヒリゾ浜公式HP
ヒリゾ浜の記事はこちらです。
ブログ:シュノーケリング@南伊豆・ヒリゾ浜 2018
動画:youtube DIRU1974
ヒリゾ浜のGoogleMapはこちらです。
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